今なおブロードウェイにおいてロングラン中の「CHICAGO THE MUSICAL」。 ブロードウェイでも観られない演出の「CHICAGO」が赤坂ACTシアターにて開幕した。
　ここ日本でもUSキャストUKキャストによる招聘公演や2008年には日本語版が上演され、 いずれも成功を収めてきた。今回の興味は世間を騒がす女囚人ヴェルマ・ケリー役に、直前までブロードウェイにおけるヴェルマ役のアムラ＝フェイ・ライトを迎え、 日本人キャストとともに作品を作りあげる点。彼女のセリフは英語？日本語？歌詞は？そんな疑問を持つ人も多いだろう。
　冒頭のヴォーカルナンバー「オール・ザット・ジャズ」でそんな疑問は吹き飛ぶ。アムラの存在感、抜群の歌唱力で会場全体が熱くなるのを感じた。 歌詞は英語。その後のセリフでは英語と日本語を織り交ぜ、テンポの良い掛け合いを生み出し、繋がりも抜群。時にブロードウェイ版を観ているような錯覚に陥り、 アムラの時折ほほえましいイントネーションにいつもの「CHICAGO」では起こりえない笑いが生まれるコミカルなシーンも出現、 インターミッション中の客席からも「これなら全然ありよね」という声が聞こえていた。アムラのテンポや存在により、米倉涼子、河村隆一、 そしてアンサンブルメンバーも高いレベルに引き込まれ、それが「CHICAGO」らしさに一層磨きが掛かることに繋がっている。

主演：米倉涼子　アムラ＝フェイ・ライト　河村隆一
共演：大澄賢也　田中利花　金澤博　H.Masuyama