自宅でサーバーを構築すると、自分の求める最適な環境を用意することができます。
一方で、自宅サーバーの用途や構築方法がわからないという初心者の方は多いでしょう。
本記事では、自宅サーバーを構築することのメリット、デメリット、自宅サーバーの主な用途やレンタルサーバーとの違いを紹介します。
記事を読むと、自宅サーバー構築の基礎を理解でき、自分の環境に適したサーバーの構築方法がわかるので、ぜひ最後までご覧ください。
自宅サーバーの主な用途
自宅サーバーの主な用途は、以下の通りです。
それぞれ紹介します。
Webサーバー
自宅サーバーの用途として、インターネットからアクセスできるWebサーバーとしての利用があります。
自宅サーバーにWindowsやLinuxなどのOS、WordPressなどのCMSを導入することで、ブログやWebサイトの構築が可能です。
一方、多くのレンタルサーバーが採用している共用レンタルサーバーは、1つのサーバーを複数のユーザーで使用するため、他のユーザーの使用状況がサーバーのパフォーマンスに影響を与えます。
自宅サーバーは共有レンタルサーバーと異なり、CPUやメモリなどのリソースを専有できるので、他のユーザーの使用状況に影響されずに安定してブログやWebサイトを運営できます。
写真やデータの保管場所
自宅サーバーを構築すると、スマートフォンなどの端末で撮影した写真や動画のデータを保管できます。
例えば、自宅サーバーにアクセスできるユーザーの設定を家族のみに限定することで、クラウドサービスのように写真や動画を共有することも可能です。
また、自宅のパソコンのデータやスマートフォンのバックアップデータが大容量であっても、サーバーへのアップロードに手間がかからないため、保管や管理が容易です。
オンラインゲーム
自宅サーバーをオンラインゲーム用にカスタマイズすることが可能です。
自宅サーバーに、マインクラフトやARKといったオンラインゲームをプレイするためのソフトウェアを導入することで、一人でプレイをしたり、複数人でマルチプレイを楽しむことができます。
また、サーバーの設定に制限をかけることなく、ゲームに独自のルールや拡張機能を導入できるため、プレイの幅を広げられます。
自宅サーバー構築の4つのメリット
自宅サーバーのメリットは、以下の4点です。
それぞれ紹介します。
カスタマイズが自由
サーバーを自由にカスタマイズできることは、自宅サーバーのメリットと言えます。
CPUやHDDなどのハードウェアや、OSといったソフトウェアの選択肢が豊富で、自分の用途に最適なサーバーを構築できます。
例えば、マインクラフトをプレイするためにマインクラフトサーバーソフトウェアを導入したり、写真や動画を家族で共有するためにサーバーへのアクセス制限を設定することが可能です。
転送量による追加費用が発生しない
自宅サーバーは、データの転送量による追加費用が発生しません。
一部のレンタルサーバーでは、データの転送量に応じて追加料金が発生することがあります。
一方で自宅サーバーの場合、データ転送にかかる費用はインターネット回線の利用料金のみです。
そのため、一度自宅サーバーを構築すれば通信費を気にせずに済みます。
膨大なファイルのアップロードが容易
自宅サーバーの場合、PCからサーバー内のフォルダにコピー&ペーストでファイルを移動できるため、大量のファイルでも簡単にアップロードできます。
また、一度に転送するデータ量に制限がないため、大容量ファイルでもアップロードが可能です。
一方、レンタルサーバーの場合、FFFTPなどファイルアップロード用のソフトウェアを使用する場合が多く、アップロードの処理に手間がかかります。
さらにレンタルサーバーは、一度にアップロードできるファイル数やデータ量の制限がされている場合もあるので、注意が必要です。
サーバーの構造や機能、管理方法を学べる
自宅サーバーを構築する過程で、サーバーをどのような構成にするか、PCからどのように接続するかなどを考える必要があります。
サーバー構成について試行錯誤をすることで、自分の知識として蓄積されます。
また、セキュリティについても考慮する必要があり、サーバーの管理方法やトラブルシューティングについても習得が可能です。
自宅サーバーを構築して運用することで、ITスキルの向上が期待できます。
自宅サーバー構築の4つのデメリット
自宅サーバー構築のデメリットは、以下の4点です。
それぞれ紹介します。
セキュリティ対策やサーバーに関する知識が必要
自宅サーバーは、アクセス制限やウィルス対策ソフトの導入などセキュリティ対策を講じなければ、外部からの攻撃にさらされる可能性があります。
そのため自宅サーバーを安全に運用するには、セキュリティ対策やサーバーに関する知識が必要です。
また、安全な環境を保つためにOSなどのソフトウェアのアップデート、サーバーのリブートや不要なデータの削除など定期的なメンテナンスを自分で行わなければなりません。
サーバー運用について手間と知識が必要な点は、自宅サーバーのデメリットと言えます。
電気代や固定IPの費用がかかる
自宅でサーバーを運用するには、サーバーを稼働させるための電力供給が必要です。
サーバーを24時間稼働させるとなると、通常よりも電気代が上昇します。
また、Webサイトの運用など外部からのアクセスに対応するために固定IPを使用する場合は、月額利用料金や工事費用など追加の費用が発生します。
電気代や固定IPの費用は継続的に必要なため、長期的な運用を見越して、月々の支払いにどれくらいの費用が発生するのかを見積もっておくことが重要です。
サーバーを配置する場所や熱・騒音対策が必要
常に自宅サーバーを稼働させていると、本体が熱を帯びます。
サーバーが高熱になるとパフォーマンスが下がったり、故障の原因になったりするので、冷却ファンなどの導入が必要です。
また、データをディスクへ読み書きする際など、サーバーから稼働音が発生することがあります。
自宅でサーバーを稼働させる場合、稼働音が周囲に伝わらないようにサーバーを壁から離して設置したり、稼働音が静かなSSDを設置するなどの対策が必要です。
初期費用が高額
自宅サーバーを1から自分で構築する場合、初期費用が高額になります。
サーバーを構築するには、サーバー用のCPUやメモリ、ディスクなどのハードウェアに加え、OSなどのソフトウェア、LANケーブルなどのアクセサリーが必要です。
必要な機材を全て購入すると、数万円の初期費用が発生します。
また、各パーツごとに高スペックなものを採用すると、それに伴って初期費用も上昇します。
自宅サーバーとレンタルサーバーの違い
自宅サーバーとレンタルサーバーの違いは、以下の3点です。
それぞれ紹介します。
管理する範囲
自宅サーバーでは、利用者が全ての管理を行います。
ハードウェアのセットアップやソフトウェアの設定、OSやソフトウェアの定期的なアップデートなど、全ての作業がユーザーの管理対象です。
一方、レンタルサーバーはレンタルサーバー提供会社がサーバーを運営・管理し、ユーザーは提供された環境を利用します。
自宅サーバーはレンタルサーバーよりも管理する範囲が広いため、技術的な知識が要求されます。
拡張性と自由度
自宅サーバーは、ユーザーがハードウェアやソフトウェアを自由に選択・拡張できるため、柔軟性に優れています。
そのため、自分の用途に最適なカスタマイズすることが可能です。
一方、レンタルサーバーは提供されている環境でのサーバー利用となるため、自宅サーバーに比べると拡張性や自由度は制限されます。
管理が楽な一方で柔軟性が低く、サーバーの提供会社によっては追加オプションで機能を拡張できるところもあります。
初期費用と維持費
自宅サーバーは、ハードウェアなどを購入する初期費用と、サーバーを稼働させるための維持費が発生します。
必要なパーツを揃えてサーバーを構築する場合、初期費用は数万円と高額になりますが、維持費は数百円~数千円と低く抑えられます。
一方、レンタルサーバーは初期費用がかからない場合が多く、月額利用料金が主な費用です。
ただし、レンタルサーバーの月額利用料は数千円のプランが多く、上位プランになるほど高額になります。
自宅サーバーを構築するおすすめの方法3選
自宅サーバーを構築するおすすめの方法は、以下の3点です。
それぞれ紹介します。
ノートPCやデスクトップPCを流用する
不要になったノートPCやデスクトップPCを再利用することで、自宅サーバーを手軽に構築できます。
新しくハードウェアを購入する必要がないため、初期費用を抑えることができます。
また、CPUやハードディスクを組み上げる必要がないので、サーバー構築の初心者でも取り組みやすいです。
例えば、古いPCをLinuxベースのサーバーに変身させ、ファイルの共有やWebサービスを稼働させるのに利用することが可能です。
サーバー用PCを自作する
自分の用途に最適なサーバーを構築したい方には、サーバー用PCを自作することがおすすめです。
CPUやディスクなどのパーツを選定して組み上げ、WindowsやLinuxなど好みのOSをインストールすることでオリジナルのサーバーを構築できます。
例えば、高性能なCPUや大容量のストレージを搭載したPCを組み立て、複雑な処理や大量のデータの管理に利用することが可能です。
ただし、必要な機材を購入する必要があるため、数万円の費用が発生することには注意が必要です。
シングルボードコンピュータを利用する
できるだけ省スペースで手軽に自宅サーバーを自作したい場合、シングルボードコンピュータを利用することがおすすめです。
シングルボードコンピュータとは、1つの基盤上にCPUやディスク、メモリなどコンピューターとして最低限の機能や部品を備えたものの総称です。
代表的なシングルボードコンピュータには、ラズベリーパイやArduinoがあります。
シングルボードコンピュータはエネルギー効率が高く、組み立ても簡単で、シンプルな用途に適しています。
例えば、自宅内でのファイル共有や自分専用のクラウドストレージとしての利用が可能です。
自宅サーバーの構築に関するよくあるQ&A
- 自宅サーバーは何のために使いますか?
-
Webサーバーやデータ保存用サーバー、オンラインゲーム用サーバーなどに使用します。
詳しくは、自宅サーバーの主な用途をご覧ください。
- サーバーを自作するには費用がどれくらいかかりますか?
-
不要なPCを流用する場合、費用はかかりません。
しかしサーバー用PC、シングルボードコンピュータで構築する場合、数万円の費用がかかります。
詳しくは、自宅サーバーを構築するおすすめの方法3選をご参照ください。
- 自宅サーバーを構築するメリットは何ですか?
-
自宅サーバーを構築するメリットは、カスタマイズが自由であることや転送量による追加費用が発生しないこと、膨大なファイルのアップロードが容易なことやサーバーの構造や機能、管理方法を学べることです。
詳しくは、自宅サーバー構築の4つのメリットをご覧ください。
自宅サーバーの構築は自由度が高く、サーバーの仕組みを学べるおすすめの方法
自宅サーバーの用途やメリット、デメリット、レンタルサーバーとの違いなどを紹介しました。
自宅サーバーとレンタルサーバーを利用するのに、おすすめな方のタイプは以下の通りです。
- 自宅サーバーは自由にカスタマイズし、サーバーを自分で管理したい方におすすめ
- レンタルサーバーは初期費用や管理の手間を省き、コンテンツの作成に集中したい方におすすめ
自宅サーバーは、自分の思い通りにサーバーをカスタマイズでき、データ転送量を気にせずに利用できます。
一方で、自宅サーバーの運用には数万円程度の初期費用や、サーバーの運用に関する知識が必要です。
自宅サーバーの難易度やコストの高さにより、維持が難しいと感じたらレンタルサーバーの利用も検討してみてください。